イウナレバー
二次創作とかのテキスト。(一部の)女性向け風味かも。
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紫の鏡を発見した。
どこにでもある、スタンド式のプラスチックの部分が紫色をしているのはもちろんのこと、鏡の部分もうっすらと紫がかっていて、鏡に映った俺の顔はあたかもどく状態であるかのような様相を呈している。紫の鏡と形容するほかない、ザ・紫の鏡と言わんばかりの紫っぷりを湛えた紫の鏡だ。
俺は首を傾げる。「……なんだ、これ」。
物を買ったり貰ったりということをあまりしない弟に比べて、滅は物欲の豊かな――というよりは、変な方向に好奇心の旺盛な人間である。
そこそこ評判の良いRPGやオカルトだのホラーだのの要素が強い種のゲームソフトに始まって、コンビニで売り出される「新商品」のポップがつけられた食品群、駄菓子の無意味な箱買い(フーセンガム十個をまとめて食べたら超巨大なフーセンできるんじゃないか、とか、一応滅なりの目的はあるらしいが。)、日常生活で活用のしようがない情報が詰まった趣味のよろしくない本(活用できるのは恐らく犯罪を犯す時と黒魔術関連の作品を創作する時ぐらいじゃなかろうか)やおまじないの本(あえて御呪いの本と漢字表記で表現したい)、大して料理もしないのに何故か豊富にそろった調味料のあれこれ(菓子もパンも作らん男が何故に食用色素を各色取り揃えているのか)、百均で売ってる灰皿(正確には元・灰皿。現・小物入れ兼菓子受けである)やなんかよく分からんサボテン(短い命だった。その短さたるや、蝉も驚きの期間である)などなど、奴の食指が及ぶ範囲は割合広く、全体的に微妙だ。
基本的に滅が買いたがるのは、自分の興味があるものやそこまで高価でないけれど目を惹くもの、これをやってみたら面白いんじゃないかという欲望をちょっとでも掻き立てられるものなどである。ぶっちゃけてしまえば「子供が欲しがるような物」で総括されるのだが、それは流石になんか悲しいので、ぶっちゃけないままにしておきたい。
で。
そんな感じに普通のものから微妙なものまでをわらわらと買い集めている滅なのだが、部屋の中はすっきりと片付いている。他所様の家へ上げてもらうなんていう体験はあまりしたことがないから比較例として挙げられるのはそれこそ滅の弟くらいなものなのだが、その弟の部屋と比べても随分整っている方だ。
というのは、単純な話――滅が整理整頓が得意とか、部屋を片付ける以外にすることが無いだとか、弟の部屋が片付いていないだけとかそういうあれではなく、それよりもさらに単純な話だ――使わないものは、とりあえずクローゼットや引き出しや箱などにまとめてぶっこんでいるためである。
つまり物が見えるところに置いてないというだけで、見えないところでは物が傷まない程度の適当な片付けしかされていない。まあクローゼットの中なんて誰が見るわけでもなし、生活に不便や危険の無い程度、誰かっつーか特定の一人くらいしか遊びに来る奴はいないんだが、そいつが部屋に来ても大丈夫な程度の片付けさえされていれば、これといって問題は無い。
とはいえ、たまにはその見えないところも整理整頓してやらないと、一体どこになにがあってなにがないのかが分からなくなってしまう。収納スペースにも容量というものがある都合上、ついでに取捨選択もしなければ、その内に物があふれてしまう事態にならないとも限らない。
そういうわけで、適当に押し込めてきたがらくた連中は大掃除のついでにまとめて整理するのが実家で暮らしていた頃からの定例であり。今は正に大掃除の真っ最中であり。滅が台所周りを片付けている間、俺は低い位置にある収納を端から整頓する役回りを果たしており。
デッドスペースにこっそり潜んでいたそんなに大きくないダンボールの中を見ていた時に、視界の端に入ったのが、紫色の鏡だった。
どこにでもある、スタンド式のプラスチックの部分が紫色をしているのはもちろんのこと、鏡の部分もうっすらと紫がかっていて、鏡に映った俺の顔はあたかもどく状態であるかのような様相を呈している。紫の鏡と形容するほかない、ザ・紫の鏡と言わんばかりの紫っぷりを湛えた紫の鏡だ。
俺は首を傾げる。「……なんだ、これ」。
物を買ったり貰ったりということをあまりしない弟に比べて、滅は物欲の豊かな――というよりは、変な方向に好奇心の旺盛な人間である。
そこそこ評判の良いRPGやオカルトだのホラーだのの要素が強い種のゲームソフトに始まって、コンビニで売り出される「新商品」のポップがつけられた食品群、駄菓子の無意味な箱買い(フーセンガム十個をまとめて食べたら超巨大なフーセンできるんじゃないか、とか、一応滅なりの目的はあるらしいが。)、日常生活で活用のしようがない情報が詰まった趣味のよろしくない本(活用できるのは恐らく犯罪を犯す時と黒魔術関連の作品を創作する時ぐらいじゃなかろうか)やおまじないの本(あえて御呪いの本と漢字表記で表現したい)、大して料理もしないのに何故か豊富にそろった調味料のあれこれ(菓子もパンも作らん男が何故に食用色素を各色取り揃えているのか)、百均で売ってる灰皿(正確には元・灰皿。現・小物入れ兼菓子受けである)やなんかよく分からんサボテン(短い命だった。その短さたるや、蝉も驚きの期間である)などなど、奴の食指が及ぶ範囲は割合広く、全体的に微妙だ。
基本的に滅が買いたがるのは、自分の興味があるものやそこまで高価でないけれど目を惹くもの、これをやってみたら面白いんじゃないかという欲望をちょっとでも掻き立てられるものなどである。ぶっちゃけてしまえば「子供が欲しがるような物」で総括されるのだが、それは流石になんか悲しいので、ぶっちゃけないままにしておきたい。
で。
そんな感じに普通のものから微妙なものまでをわらわらと買い集めている滅なのだが、部屋の中はすっきりと片付いている。他所様の家へ上げてもらうなんていう体験はあまりしたことがないから比較例として挙げられるのはそれこそ滅の弟くらいなものなのだが、その弟の部屋と比べても随分整っている方だ。
というのは、単純な話――滅が整理整頓が得意とか、部屋を片付ける以外にすることが無いだとか、弟の部屋が片付いていないだけとかそういうあれではなく、それよりもさらに単純な話だ――使わないものは、とりあえずクローゼットや引き出しや箱などにまとめてぶっこんでいるためである。
つまり物が見えるところに置いてないというだけで、見えないところでは物が傷まない程度の適当な片付けしかされていない。まあクローゼットの中なんて誰が見るわけでもなし、生活に不便や危険の無い程度、誰かっつーか特定の一人くらいしか遊びに来る奴はいないんだが、そいつが部屋に来ても大丈夫な程度の片付けさえされていれば、これといって問題は無い。
とはいえ、たまにはその見えないところも整理整頓してやらないと、一体どこになにがあってなにがないのかが分からなくなってしまう。収納スペースにも容量というものがある都合上、ついでに取捨選択もしなければ、その内に物があふれてしまう事態にならないとも限らない。
そういうわけで、適当に押し込めてきたがらくた連中は大掃除のついでにまとめて整理するのが実家で暮らしていた頃からの定例であり。今は正に大掃除の真っ最中であり。滅が台所周りを片付けている間、俺は低い位置にある収納を端から整頓する役回りを果たしており。
デッドスペースにこっそり潜んでいたそんなに大きくないダンボールの中を見ていた時に、視界の端に入ったのが、紫色の鏡だった。
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