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イウナレバー
二次創作とかのテキスト。(一部の)女性向け風味かも。
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 寒いねえと僕の名を呼び楽しそうに笑うあなたは僕をひどく不愉快にする。静まり返った水面にぼんやりと沈んでいた心持ちどもが梃子のようなもので浮つかされて、具合の悪い音を立てて弾む波紋は心臓を叩き血の管を通って脳漿を震わす。不愉快だ。脳漿を侵した波紋の残りかすが僕の口端を引きつらせ、それに気を良くして話を続けるあなたの瞳は飽くこともなくきらきらした何かを映しているので僕の口端はますます引きつる。僕はきらきらしていない。不愉快だ。
 きらきらしたそれが何であれ、僕の心臓は叩かれつづけるのだし、血の管には脳へと延びる弧の軌道が残るのだし、脳漿は包むべき臓物にぐらぐらといかがわしい酩酊感を与え続けるのだけれど、そんなのはただ息苦しいだけだ。息をつけばそれで解消される。けれど、そうと分かっていてもなお、その息苦しさが僕だけを一方的に責め立てているのが許せない。僕のために責められる人のないことが許せない。あなたも責め立てられているのだろうか? だとしたら何のために、あるいは、誰のために。
 窓ガラスを割り火を付けて、全部まとめてだめにしてしまったら楽しいだろう。消防車も消火器も燃やしてしまって、コンクリートだって白濁した火群でどろどろに溶かしつくして、乾いた土の上に立った僕とあなたと繋がる宛のない電子機器一揃いとで目的を見失って死ぬまで困惑したらいい。でなければそう、僕と親指先ほどの人骨と埃蜘蛛みたいな針金の塊とで目的を達成した心地良さで死んでしまえたらいい。
 そうして初めて僕とあなたは同じようになれるのだろう。
 楽しそうに笑うあなたのために沸々と膿んだ不愉快をかさぶたの下に押し込める、僕の瞳にはきらきらしたあなたが映っている。不愉快、だ。
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